1930年代以降の英語学及び言語学の発展にはめざましいものがあります。伝統文法から変形生成文法、認知文法、さらにはコーパス言語学にいたるまで多様な隆盛を今日見ております。日本における学会の発展に目を向けてみると、1982年には日本英語学会、そして1985年に日本中世英語英文学会がそれぞれ設立されました。日本英語学会は主として現代英語を、日本中世英語英文学会は古英語及び中英語を研究対象にしております。その結果、英語史の中で大切な時期である初期近代英語(1500-1700)及び後期近代英語(1800-1900)の研究が著しく軽視されてきました。言うまでもなく、近代英語期にはCaxton, Shakespeareをはじめとして、17世紀以降にはSamuel Richardson, Jane AustenCharles Dickensなどによる小説の勃興に伴い、英語それ自体がますます洗練された言語に発展していく過程でもあります。この時期の英語研究こそが英文学史、英語史を理解するうえで非常に重要であることは言を要しません。近代英語協会は古英語、中英語そして現代英語間のギャップをうめるべく必要な学会として設立されるものであります。従来日本においてはヨーロッパに比べてこの分野の研究は遅れております。ドイツ、オランダ、スウェーデン、フィンランドなどの国々では近代英語の研究ではすばらしい業績を上げております。近代英語協会は日本におけるこの分野での研究発表の場を提供すると共に、その成果を日本の国内外に発信する拠点の役割を演じるものであります。このような意味から、ここに近代英語協会の設立を提案するものであります。

近代英語協会会長 秋元実治

近代英語協会理事:秋元実治 天野政千代 小倉美知子 菊池繁夫 小迫勝 児馬修
              澤田治美  田中逸郎  田辺春美  豊田昌倫  中村不二夫
          橋本功   服部義弘  馬場彰  樋口昌幸  米倉綽


*役職は2007年の日本学術会議への申請時
 

トップページに戻る

近代英語協会設立趣意書